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クラレは、燃料にメタノールを使用する燃料電池(※1DMFC)用の高性能な炭化水素系ポリマー電解質膜を開発した。新開発した炭化水素系電解質膜は従来のフッ素系電解質膜に比べて、発電時のメタノールの透過量(※2メタノールクロスオーバー)が40%小さく、最大出力を1.6倍に大幅向上させることが可能である。 携帯機器向けDMFCは、2006年4月より始まる携帯機器向けデジタル放送、2007年1月からメタノールカートリッジの航空機内へ持込み規制の緩和見通しなどから、本格的な市場の立ち上がりが予想されている。 従来、水素を燃料にした燃料電池で使用されてきたフッ素系電解質膜をDMFCに用いた場合、水素イオンは通しやすいものの、同時にメタノールも通しやすく、性能の低下や燃料ロスを招き、DMFCの実用化を困難なものにしてきた。現在、各社はメタノールを通しがたいエンジニアリングプラスチック系など、新規な炭化水素系電解質膜の開発にしのぎを削っているが、メタノールの透過を抑えるには水素イオンの通しやすさを犠牲にせざるを得ないため、発電性能が上げられないという技術の壁に直面している。 同社はこうした課題を、独自開発のエラストマーを使用し、独自製膜技術によりナノ構造をコントロールすることによって解決し、発電性能の大幅アップに繋げた。同社の開発膜は、濃度の高いメタノール水溶液を燃料とした場合に特に優位性が高く、このため燃料容器を小さくでき、電池の小型化にも貢献する。さらに、柔軟というエラストマー由来の特長を持つため、電極との密着性が高く発電性能のアップやアセンブリのしやすさなどのメリットを併せもっている。 同社は、本電解質膜の2008年事業化を目指し、DMFC用の電解質膜および※3膜-電極接合体(MEA)の開発を進めるとともに、環境への配慮からハロゲンフリーが望まれる自動車や家庭用の水素を燃料として使用する燃料電池用ポリマー電解質膜への展開も推進する。
開発膜の特徴
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開発膜 |
フッ素系 |
エンプラ系 |
備考 |
| 水素イオンの通り易さ |
○ |
○ |
△ |
最重要性能 |
| メタノール透過低減 |
○ |
× |
○〜◎ |
DMFCでは水素イオン通り易さとの両立が必要。 |
| 柔軟性 |
◎ |
○ |
× |
触媒層との良好な接着性、アセンブリ容易さに繋がる。 |
| 機械的耐久性 |
◎ |
○ |
× |
メタノール、水に対する寸法変化少ない。柔軟なため割れにくい。 |
| 化学的耐久性 |
◎ |
◎ |
× |
フッ素系と同程度 |
| ハロゲン |
無し |
有り |
無し |
環境に優しい。 |
| ※1 |
燃料にメタノールを使用する燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel
Cell) 電解質膜にポリマーを使った燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel
Cell)の中でも、燃料にメタノールを直接用いる方式の燃料電池。低温で動作すること、気体燃料に比べ理論エネルギー密度が高く、かつ燃料改質を必要とせずコンパクトであることから携帯機器の次世代電源として期待されている。 |
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| ※2 |
メタノールクロスオーバー(Methanol
Cross-Over) アノード(電子が流れ出す方の電極)側から供給されたメタノールがポリマー電解質膜を透過してカソード(電子が流れこむ方の電極)側でも反応してしまう現象。カソード側で反応したメタノールは発熱し燃料ロスするばかりでなく、副反応による発電性能の低下につながる。一般的に、電解質膜のメタノールクロスオーバーを抑制すると水素イオンの伝導性が低下するというトレードオフの関係にあることが知られている。 |
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| ※3 |
膜−電極接合体(MEA:Membrane Electrode
Assembly) カーボンペーパーなどにバインダーを用いて触媒を担持させた電極を電解質膜の両面に接合した、発電を担う主要な部材。 |
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